絵本「Once Together, Forever Together」について

釧路湿原を舞台としたこのお話は、文章を書いたマウリシオ・クレスポ氏がNHKの国 際局にいた時の取材に基づいています。世界各地を取材旅行してきた氏は、長年の間、 「一度結ばれると一生仲良くいたわり合って生きていく」といわれている丹頂鶴の夫 婦愛を描いた絵本の構想を持ち続けていたそうです。彼が、「みかさんは、鳥の絵が お得意ですね。」と言って、この絵本のたたき台を見せてくれたのは、ちょうど暖か な春を迎えた頃でした。

この絵本の中のメス鶴は、冬が終わり、群が飛び立って行くべき時に、翼を怪我して 舞い上がることすら出来ずに取り残されてしまいます。しかし、それに気付いたオス 鶴は彼女を見捨てることなく、彼女が元気になり飛び立つことが出来るようになるま で、共に一緒に過ごします。

中国大陸に生息する丹頂鶴の中には、春になるとシベリア方面へ帰って行くものもあ るそうです。しかし、私がこの絵本の舞台を釧路原野の湿原地帯に設定したのは、小 さいときに母親の故郷である釧路で観た、優雅な丹頂鶴のイメージが、今でも鮮明に 息づいているからだと思っています。

この絵本は、日本語版が出版された後、スペイン語、ポルトガル語にも翻訳され、英 国、米国の他、ブラジル等世界各国で発売されております。今年2005年は、9月にマ ドリード、11月にパリのブックフェアーで原画を展示する計画です。日本の丹頂鶴が、 絵本によって世界飛行していくことが、今の私の願いです。


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